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グロテスク

「この世界は平等ではない」

数年前に実際に起きた、いわゆる「東電OL殺人事件」に取材して書かれた小説。この世に存在する「差別」を正面から描いた作品である。

出自による差別、

貧富による差別、

容貌による差別...

語り部である「わたし」はスイス人の父親と日本人の母親を持つハーフであるが、その容貌は人並みであった。妹ユリコが怪物的な美貌を持つことから、度々比較され続け、二人は仲たがいしてしまう。

都内の一流校である「Q女子高」に入学した「わたし」は、そこで主人公の「和恵」に出会う。Q女子高は、小中高大学一貫校であり(慶應義塾がモデルとなっている)、「内部生」と「外部生」の間に歴然とした区別がなされる差別社会であった。家柄、貧富、服飾のセンス、学力、容貌 etc による差別が余すところなく描かれている。和恵はそれらの差別と闘っていこうとするが、内部生たちに阻まれ、崩壊していくのである。

「この世界は平等ではない」

「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」と言ったのは、慶應義塾の創始者の福沢諭吉であるが、その慶應義塾をモデルとして差別を描く小説が書かれたのは皮肉としか言い様がない。

人は自分を他人と差別化することによってしか生きていけないのだろう。収入や学力は努力して勝ち得ることが出来るが、持って生まれた容貌だけは、変えることは出来ない。怪物的美貌の持ち主ユリコと出会うことで、登場人物たちは敗北感を味わわされる。

主人公の和恵は、昼は一流企業のOLをしながら夜は娼婦をすることで、自分を差別化していたのだ。

男性の私が読んでも大変面白かった。女性が読んだらもっと面白いと思うが、少なくとも知り合いの女性には貸したくない。

この本には、「堕落する悦び」も書かれているから。

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